育む
生活のはじまり
生活のはじまりは、則ち、この世に生まれてくることです。
赤ちゃんが母体に宿り、産まれ、成長していく過程は、
いのちそのものを育むとても大切な時期であると同時に、
私たちが生活の中で気を配るべき様々なことがらを教えてくれる人生の教科書のようなものです。
それでは、そのページを順にめくっていきましょう。
気
気ということが生命の基本です。
必要なものを集め、不要なものを捨てる力。
このあたりまえに働いている自然の摂理のことを気といいます。
これから産まれてこようとする「いのち」に対して、何か具体的なことをするとすれば、
ただそうした自然の気を集めるというそのことにつきるでしょう。
体をほぐすとか、歪みを正すとかいう考えも、ここでは必要ありません。
そうした技術は、このはじまりのゼロ地点に戻ってくるためのものだからです。
胎教という考えも注意がいります。
インプットするのは簡単ですが、ゼロに戻すことは大変難しいからです。
真っ白な紙に自由に描いていくことの楽しみはとっておいてあげたいものです。
気功の学びはじめも同じですね。
では、何もしないでいいかというと、そうでもありません。
書道の時の準備を考えてみて下さい。
まず何からはじめますか。
白い半紙を用意する前に、部屋を掃除したり、お花を生けたり、机をきれいにしたり、
おちついて書けるように周りの環境を整え、これから使う道具を使いやすいように準備します。
そうした作業のひとつひとつが、書に気をあつめるということになっているのです。
いのちそのものが全力を出し切れるための環境づくりが大人の役割であり、育むということです。
余分な手は加えず、母体という環境を整え、新しい生命を迎える準備をし、気を集めます。
その具体的な形として「てあて」があります。
ただ、手をふれて、ぽかんとして、気をあつめる。
難しいことは必要無く、それだけでいいのです。
音
赤ちゃんは素直に気に反応しますが、音にも敏感です。
お腹の中の赤ちゃんに話しかけると、ちゃんと答えてくれます。
もちろん、言葉の意味を理解しているというよりも、
言葉の響きから伝わるものを直接に感覚しているのでしょう。
ともかく気が通 えば、話は通じます。
とても細やかで、すこぶる感度がよいです。
大人はもっともっと子どもの感受性に近付こうとする必要があるでしょう。
そうした心掛けは、意味以前にある言葉の響きの豊かさや
音そのものが持つ働きを思い出させてくれます。
日常の喧噪にまぎれて忘れかけていた感覚は、繊細なもの、豊かなもの、
気の働きの盛んなものにふれることで、目覚め、磨かれていきます。
赤ちゃんは気功のお手本、育児は生活の中の気功。
ということは、本気になって赤ちゃんの感度に合わせてみれば、からだが思い出します。
だれもが一度は赤ちゃんだったのですから。
光
生まれる以前は、暗いお腹の中。誕生と同時に初めて明るい光の下にさらされます。
外の光にもだんだんにならしていきたいですね。
気功をしていて、大脳が休息し、無意識の領域が広がっていくと、
目を閉じていても光を感覚する時があります。
それも特別 に求めるようなものではなく、赤ちゃんの時には誰でも見ているものかも知れません。
光るもの、輝くもの、美しいものは私たちの心を本能的に惹き付けます。
心身の輝きや美しさも大切にしていきたいですね。
輝きは私たちの内にあります。
そのだれもが元々持っている輝きに気付くための学びの場をみなさんと共に作っていきましょう。
心と体
心はいつから生じるのでしょうか。
生まれて後、言葉を覚え、様々なことを知り、考え、悩み、楽しむ。
そうした学習以前に、不快なら泣き、快ければ笑い、話しかければ通 じ合う心があります。
その元々ある心の感覚を楽しむことが単純な気功の楽しみ。
そのことを感じて体を動かせば、自然と心も動きます。
後天的に学んだ、ベシ、ベカラズの壁を越え、
先天からある自由でしなやかな心と体を育んでいくことが気功の目的であり、
生活の基本なのです。
気功生活Vol.17 より 転載

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