動く ・ NPO法人気功協会ホームページ「気功のひろば」

動く       

のびやかに動く

人はなぜ眠るのか。それは、よりよく動くためです。
人は動くことで丈夫になり、動くことで新しい能力を身につけていきます。
しかし、無理に動き続ければかえって体を壊す。
要は、動いた後に休めること、さらに動きそのものの中にゆるみを持つことが大切なのです。
心身をゆるめて動けば、中心のあるしなやかな力が自然に働きはじめます。
やわらかで力強く、のびのびとした気持のよい動きです。
のびやかな自然の動き。
気功のファーストステップも、ここから始めていきたいと思います。
世間一般の「気功の第一印象」は、のびやかというよりは、むしろ、
もっと静的、内求的な印象があります。
また、特別 な能力を創り出すための特別な訓練と誤解されがちです。
しかし、気功は自然の原理原則に戻っていく技術であり、またその過程そのものです。
窮屈で内に籠りがちな社会だからこそ、まずは、のびやかな自然の動きを取り戻し、
肉体も精神も一度開放していくことが必要です。
特別な工夫をあれこれ加えていく以前に、身体の自然の動きを取り戻しておくことが大切なのです。

まず何になじむか

人間はどんなことにでもなじんでしまう特別な学習能力を持っているので、
精神的にも肉体的にも様々にとらわれ、身動きが出来なくなってしまう傾向があります。
心身が慢性的に病んでくるほとんどの原因は、こうしたとらわれの状態、
つまり自然からの乖離だといえます。
物やお金がかえって苦しみを生むのと同じように、
特別な訓練を積めば積むほど、からだを壊し、心を蝕む。
そうした例が巷にあふれる健康法や精神修養法には驚くほど多い。
気功も例外ではありません。  
ではどうすればいいか。
まず自然の動きになじみ、そして自然の感覚になじむこと。
ここから始めれば、間違いはありません。
繰り返しになりますが、初めに何をするかということはとても重要なことです。

自然なものに先になじんでおくと、無駄な苦労がなくなります。
例えば、眉間にしわを寄せたまま座り続けていれば、その情報が体になじみ、定着します。
これは自然ではないですね。
人相の悪い人をつくる特別 な訓練だといえます。
同じ座るなら、眉間にしわがよるような硬直した身体をまずゆるめ、
ほがらかに微笑んだ自然な状態で座った方がいいですね。

ブラ下げて振る

だれでも簡単に体験できる自然の動きは、おそらくぶら下げ型の動きです。
気功で言えば腕をブランと振るスワイショウ(用 手shuai shou)がその代表選手です。
前後のスワイショウが一般によく知られていますが、
動きののびやかさからいえば、捻り、左右、そして交互のスワイショウがオススメです。
東京の出口衆太郎さんに教わったものですが、
この四つのスワイショウは気功の初めの一歩として最適です。

ブラ上げてゆらす

もう一つの自然の動きは、ブラ下げに対して、ブラ上げ型の動きです。
ブラ下がっているのと同じようにゆるんだ状態を、下から順にゆらゆらと積み上げ、
微妙なバランスの中で立っている感じ。
禅密功の背骨の動きがそれです。
こちらも前後、左右、捻りと自在な動きの四種類の基本の動きがあり、
背骨の波動が全身のあらゆる部分にのびやかに広がっていきます。
ブラ下げると力まずに自然にゆれるのと同様、ブラ上げれば、力まずに自然にゆれます。
禅密功の三点一線という立ち方は、端的に言えば背骨のブラ上げの要求です。
この二つの自然動だけでしばらくは遊べます。
自然で心地よいものはなかなか飽きがこないもので、本当に長く楽しめます。

ゆすり

もう一つ簡単な自然動をあげるとすれば、最も単純な振動、ゆすりです。
一言にゆすりといっても千差万別 でとても広範囲なものですが、
それだけ原始的で多様なひろがりのある動きだといえます。  
手首、足首などの関節に対しては、前後、左右、捻りの各振動をつくることができ、
全ての動きが細かく楽々できることが理想です。
ゆすり難いところは鈍っているところ。そして楽々ゆれるようになればほぐれた証拠です。
全身の振動としてやりやすいのは、重力方向に細かく上下する、上下のゆすり。
そして、背骨の中心軸にからみつくようにして細かな捻りを加える、捻りのゆすり。
前者の代表例はいわゆるビンボウゆすり。
身体各部をゆるめていくのに効果 的です。後者の代表例はイヤイヤ。
背骨そのものをゆるめるのに効果的で、感情面も含め全身を開放します。
からだが自然にやってしまうことは、みんな自然の自己調整です。
横に寝ころべば、重力方向から開放されるので、
金魚運動のような左右のゆすりもやりやすくなります。
最近はそのための機械まであるそうですが、
扇風機がどんなに改良されても自然の涼風とは比較にならないように、
機械的な刺激というものはかえって身体を鈍らせます。
どうせ何かを利用するなら、操体道普及友の会の中川重雄さんのように
「バスで山道をゆられ、おかげで体が整ってしまった」というふうに、
タナボタ式にいきたいと思います。 
薬でも、機械でも、また自然療法であっても、依存すればその人の力は奪われてしまいます。
くれぐれも御用心を。

ゆすり、スワイショウ、背骨の波動。
これに伸び縮みの運動を加えると、ほとんどの動作は自在になります。
まずは伸びやかに、さらにできるだけ力を抜いて、省エネで動きます。
「動きが気功らしくなってきたな」というのはひとまずは省エネが進んできた証拠です。
しかし、中心がなければ伸びやかで美しい感じはでてきません。
自然の動きには常に適度な心地よさと内からあふれ出る美しさがあるものです。

気功生活Vol.11 より 転載