眠る
動物の眠り
春眠暁を覚えず。
おだやかで気持のいいまどろみは、からだがゆるんで、広がってくる印。
眠りという運動はゆるみの極みを含むために、私たちの心を引き付けてやまないところがあるのです。
ヒトは普通横になって眠ります。
立っていれば、体重を支えなければならないので当然のように思いますが、
象やキリンは立ったまま眠ります。
四つ足だからそうというわけではなく、多くの鳥は片足立ちで眠ります。
イルカは脳の左右半球ずつ交代で眠るそうです。
水の中で完全に眠ってしまったら呼吸ができなくて困るのですね。
睡眠時間の方は一日のうち二十時間も眠るオオナマケモノを筆頭に、
二時間ほどしか眠らないウマまで千差万別 ですが、
一回の睡眠時間は、比較的長いイヌやネコで約一時間。ハムスターなら十分そこそこです。
こうしてみると、仰向けに寝転んで長時間ふとんにくるまっている方がむしろ特殊です。
しかし、大脳が発達した人間の生活にとって、眠りはなくてはならない大切なものです。
無意識の階段
眠りの中で大切なのは潜在意識のクリーニングです。
大脳がひと休みしている間に、身体各部の自然のネットワーク、
いうなれば本来あるがままのつながりあいを回復していきます。
それは身体内部で完結せず、地球や天体など自然界とのつながりも取り戻していく過程です。
眠りにつく瞬間は意識できません。
ほんの一秒ほどの間に意識のスイッチが一斉にオフになってしまう。
ここからは無意識。潜在意識の働き出す時間です。
みなさんご存じのように、眠りにはいくつかの深さの違いがあります。
一番浅いレベル、ウトウトした感じの眠りがいわゆるレム睡眠。
そこから、階段を下りていくように、およそ四段階の眠りの深さがあり、
グッスリ、スヤスヤと眠っている最も深い眠り、からまた、階段を上るようにして、
ウトウトした浅い眠りに戻ってきます。
およそ九十分のサイクルで浅い深いのリズムを繰り返し、
最も深いレベルの眠りは、寝付いてからおよそ三時間ほどの間に集中して現れます。
こうしてみると無意識にもいくつかの深さの違いがありそうです。
無意識の深層に性的な働きがあると考えたのはフロイトで、
最深層に集合的無意識を想定したのがユングですね。
性というのは種族保存の欲求ですから、個人を越えた、つながりのエネルギーとも言えます。
生のはじめに性があることからすると、先天のエネルギーというものも性と直接につながっています。
それは単に男女が惹きあい恋しあう強力な親和力というだけではなくて、
バランスをとって存在している陰陽全てのものが微妙に溶け合い流動している動きそのもの、
と考えた方がよいでしょう。
例えば、他人のため、世の中のために動きたい、という欲求もごく自然な性の働きの一部分です。
そうした大自然の流れの一部として具体的な性があり、
その性がまた、心の動きをつくり、心が身体の動きを制御している。
そう考えると、身体を整えるには心を、心を整えるには性を、性を整えるには宇宙、
自然界そのものを整え、それと響きあっていくことが必要ということになります。
その全てにわたる自動的な修復装置が元々備わっているとすれば、それは眠りにちがいありません。
正夢とは眠っている間におこる予知能力ですが、
未来を予見するのは、集合的無意識とリンクしている証拠ですね。
ちなみに空想と正夢は後頭部で見分けるそうです。
普通に夢を見るときは後頭部がゆるんでいるのに、正夢の時はきちんとしている。
寝返りは当然のことながら身体の自働運動。
そして夢は大脳レベルの自働運動ですね。
過剰エネルギーや心身の余分な緊張があると出てきますが、
その間、眼球も小刻みに動き、大脳も活発に活動しています。
眠りとホルモン
睡眠中の働きには起きている間にはない特別なものがいくつもあります。
寝る子は育つとよく言われますが、子どもはグッスリ眠る時間が長く、
その深い睡眠の間に脳下垂体から成長ホルモンが分泌され、本当に寝てる間に大きくなります。
大人では、身体の修復や疲労回復、つまりほころびた部分のメンテナンスです。
最近特に注目されているのは夜のホルモン、メラトニンです。
メラトニンは松果体でつくられ、暗くなると血中に放出され、強い光を浴びるとなくなります。
米国では抗鬱剤として薬局で手軽に買えますが、言ってみれば誘眠剤。
本来は眠りと目覚めのスイッチ、太陽のリズムを感受するものとして機能している大切なものです。
どちらにしても深い眠りにはメラトニンが欠かせません。
やはり夜は暗くして寝、朝起きたら太陽の光を浴びた方がいいですね。
生活リズムの乱れが眠りに及ぼす影響は想像以上のものです。
深く眠れさえすれば心身共に自然に元気になってしまうのですから、
あれこれ悩むより、ライフスタイルそのものを積極的に改善してみる方がいいかもしれません。
眠る気功
眠る気功というものを、二〇〇一年の九月に初めて習いました。
その第一原則は身体のリラックス。
ここではちょうどよくバランスをとるという意味ではなく、
完全に楽にゆるめてしまうことが大切です。
第二に、頭部の情報の出入り口を開くこと。つまり脳と外界との情報のやり取りを自由にすること。
第三に、身体の陰陽をあわせること。
つまり片方に偏りやすい身体内部の情報が自由に行き来できる状態にすることです。
これらの条件がそろうと最も深い睡眠のレベルに一気に到達し、下腹部の中心に熱感が生じます。
この身体反応のスピードからすると、ホルモン系統の反応と呼応しているように思います。
ともかく深く眠れば心身の疲労は一気に抜けてしまいます。
もし疲労回復が目的なら、いかに眠りを深くするかということにさえ気をつけておけばよいのです。
しかしその深い眠りの中に、自然とつながりあうこと、
言い換えれば霊的な調和と元気回復ということも、予め含まれているのです。
では、からだをゆるめて、ゆっくりとお休みください。
気功生活Vol.10 より 転載

HOME
気功協会とは
教室のご案内
通信・気功生活
