いるものといらないもの
土台
「気功って何」と聞かれた時に、十人いれば十人答えが違います。
また、気功のどこに興味を持って聞いているかによって答え方も自ずと違ってきます。
気功の定義は今だ定まらずといったところでしょうか。
みんなそれぞれにこれが気功だと言っては便利に使っているところがあります。
この連載では、先入観のない状態に戻り、またあれこれを隔てる流派や解釈の壁を取り払って、
できるだけシンプルな気功の体系をイメージしていきます。
今私達に必要なのは、生活の全てを生き生きとした、
いのちあるものにしていくための共通 の土台だと私は考えます。
その共通の土台こそが気功ではないでしょうか。
「気功の学校」はいわば小学校からはじまります。
それも、決まったカリキュラムがあるのではなく、
新任の若い先生があれこれ工夫しながら試行錯誤している小さな山の分校のようなものです。
それでは、気功以前の基本的な問題から始めていきましょう。
わかる
私たちの身の回りにはたくさんの物やサービス、決まりごとや知識があります。
役立つものもあれば、生活を乱しているものもあります。
重要なのは、いるものといらないものを識別する眼です。
自分にとっているものといらないものが判れば、無駄な消費も自然に減ります。
ほとんどが過剰と考えていいので、シンプルライフの流行は歓迎すべきですね。
身の回りのものひとつひとつについても本当に必要かどうか再点検してみることをおすすめします。
人間のからだについても同様で、からだに何が必要で、何が過剰なのかがわかれば
自ずと元気になってしまいます。
しかし昨今は、このキノコが効くと言へばだれもがキノコを食べる。
ココアがからだに良いとなると、みんなココアを飲む。
みんな右へならへで自分の感じで確かめようとすることがまずありません。
自分のことなのに人任せなのがおかしいのです。そのことにまた気付かない。
集団的な感覚異常といってもいい。生存能力の低下とも言える。
生きていくための最も基本的な力が失われているとしたら、これこそが大問題です。
問題の本質をすり替えてはいけません。
何が必要で何がいらないものなのか、直感的にピンとくる感受性を育てていく必要があるのです。
そうした感受性の教育こそが今本当に必要です。
学校教育に気功をぜひ取り入れてもらいたいものです。
発想を変える
栄養ドリンクやサプリメントはかなり疑問です。
疲れたといっても、人によってその疲れ方は様々。どんな疲労にも同じ処方というのは考えものです。
でももっと問題なのは栄養物を補給すればするほど、栄養の吸収力が弱ってしまうことです。
繰り返し使えば、さらに強力な栄養剤が必要になります。
疲労回復にはむしろマイナスの発想が有効です。
ほとんどの人が食べ過ぎで、体に負担をかけています。
余分に押し込めば、捨てようとするのがからだの自然の働きです。
一食抜いてみるとか、素材を工夫して栄養価を落とすといったこともぜひ楽しんでみて下さい。
からだの感受性が高まれば、食べたい時は食べる、
食べたくない時は食べないという感覚がはっきりしてきます。
気功歴の長い人は、みんな自然にやっています。
感覚が鋭敏になれば、からだにまかせるのが一番です。
自然に戻る
ところが、自然にまかせる考えと、
自然にまかせてはブレーキが効かないという二つの対称的な考えがいつも出てきます。
これは、欲求に自然な欲求と不自然な欲求の二種類があると考えればよいのです。
からだの自然が保たれていれば自然の欲求が働きます。
からだが鈍っていれば、自然だと思っている感覚そのものが不自然なものになってしまいます。
欲求が欲望に化けてしまったということです。
そういう場合には自然に戻るための方法が必要になります。
積極的な手段としては気功の練功をすればいいわけですね。
また同時に、からだを鈍らせるものを減らしていくための楽しい努力も必要です。
過剰な刺激をさけ、より細やかな変化をたのしむような自然な暮し方にもどればよいのです。
うちではたまたま5年ほど前にテレビが故障してくれたおかげで、テレビのない暮しを楽しんでいます。なければないで、こどもたちはいろんな遊びを工夫するし、
何かつくったり、絵をかいたり、本を読んだり、いろんなことを考えたりする時間ができます。
実感としてはテレビはない方が数倍豊かです。
特にこどもたちにとっては無いことが幸運でした。
画面中の出来事はこどもにとって現実の一部です。
そして映像はともかく人の気を引こうとします。
買ってよかったのは古い柱時計。
ボーン、ボーンとやさしく響く鐘の音が、ふっとこころをなごませてくれます。
どこでも時間は同じはずなのに、時の流れがとまり、どこかへタイムスリップしたような感じです。
自然に戻るというのは、簡単なようでなかなか難しい。
しかし注意を集めて動いてみればいろんな発見があって、発見があればだんだんに変化していきます。
では次は具体的に、首まわしから始めましょう。(つづく)
気功生活Vol.6 より 転載

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